
国産牛肉と輸入牛肉の違いって正確には良く分かってないから人には説明できないんだよね・・。
分かりやすく詳しく解説してくれたら助かります!
この記事では、国産牛肉と輸入牛肉の表記の違いについて現役のお肉のプロが詳しく解説しています。
- 国産牛肉と輸入牛肉の違いについて詳しく知りたい方
- スーパーで売っているお肉の産地表示についてもっと詳しく知りたい方
- 牛肉のトレーサビリティについて興味がある方
先にこの記事の結論になります。より詳しく知りたい方は本文を読んでみてください。
- 飼育する際の全行程で日本での飼育期間が最も長かった場合(最長肥育地が日本)、「国産牛」表記となる。
- 外国生まれの牛でも、最長肥育地が日本だった場合は「国産牛肉」表記となる。
- 逆に日本生まれの牛でも、海外が最長肥育地であった場合は「外国産(例:豪州産・米国産等)」表記となる。
- 国産牛肉の場合、10桁の個体識別番号をもとに産まれてからお肉になるまでの全工程を追跡することができる(牛トレーサビリティ制度)。
私の簡単なプロフィールはこちらになります。
それでは詳しくみていきましょう。
国産牛肉と輸入牛肉の表記方法について


まずは国産牛肉と輸入牛肉の表記方法について説明します。お肉の「原産地表示」について、どこまで詳しく説明できますか?おそらくほとんどの方が次のような考えではないかと思います。
- 日本で育てられている牛が国産牛肉で、外国から入ってきた牛が外国産の牛肉でしょ?
- 当然、日本生まれの牛が国産牛肉で、外国生まれの牛は外国産牛肉の扱いですよね?



99%以上のの方がこのような認識であると思います。
しかし、この考え方は正確ではありません!
正確には以下のような記述になります。
- 飼育する際の全行程で日本での飼育期間が最も長かった場合(最長肥育地が日本)、「国産牛」表記となる。
- 外国生まれの牛でも、最長肥育地が日本だった場合は「国産牛肉」表記となる。
- 逆に日本生まれの牛でも、海外が最長肥育地であった場合は「外国産(例:豪州産・米国産等)」表記となる。





これ、めちゃくちゃびっくりじゃないですか?
私もこの業界に入って初めて知りました!
ほとんどの方はこの事実は知らないかと思います。私もこれを初めて知った時は驚きました。人間に例えると、産まれが日本でも育ちがアメリカだったらアメリカ人になるわけです。少しややこしく感じるかもしれませんが、最も長く育った国(地域)が「原産地」となる、と覚えておけばここでは問題ありません。
最長肥育地・出生地の調べ方について
では、その牛肉の最長肥育地(最も長く育った国・地域)や出生地を調べるにはどうしたらよいのでしょうか?その場合は10桁の個体識別番号を利用してみてください。国産牛肉の場合は必ず10桁の個体識別番号が表記されています。



0123456789
こんな感じの10桁です!
国産牛の場合は表示が義務づけられています!


スーパーで売っているお肉の場合は、価格が書いてあるラベルの同じ欄に10桁の表記があるはずです。
ただし、「こま切れ」や「切り落とし」のお肉に関しては、個体識別番号の表示義務はありません。
この番号を独立行政法人家畜改良センターの「牛の個体識別情報検索サービス」に入力します。すると産まれた場所はどこで、どこに移動して、どこでお肉になったか、という履歴が全て追えるようになっています。
これを国産牛肉のトレサビリティ法といいます(正確には、牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法)。





ここに10桁の個体識別を入力!





すると
どこで産まれて
どこで育って
何歳まで生きたか
これらが一目瞭然になります!



今まで気にして見たことなんてなかったなあ・・。
スーパーで買うお肉とかを自分で調べてみると勉強になるかも!
かなりオフレコの話ですが・・。今からでは考えられませんが、個体識別番号が無かった昔(20年以上前)の業界は偽装表示のオンパレードだったみたいです。まさにやりたい放題な状態。大手食品会社の牛肉偽装事件をきっかけに、芋づる式に業界全体の闇が明るみに出ました。これをきっかけに国が動き、現在の牛トレーサビリティ制度ができたというわけです。
現在は偽装自体を行うことが難しい状態ではありますが、それも最終的には販売側の遵法(じゅんぽう)の精神(=法律を守り、侵さないという精神)とモラルにゆだねられています。当然、現代では偽装は悪。発覚次第、社会的に抹殺されます。みなさんもお肉を買う際は信頼できるところから購入するようにしましょう。
牛のトレサビリティ方についてもっと詳しく調べてみたい方は農林水産省HPを見てみてください。
国産牛肉と輸入牛肉の違いについて
簡単にはなりますが、国産牛肉と輸入牛肉の違いについて説明します。
国産牛肉と区分できるものは最長肥育地が日本で、かつ和牛・乳牛・交雑牛(肉専用種)になります。そのうち、和牛と呼べるものは黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種の4品種のみです。



輸入牛肉はこれらを除いた、外国から入ってきたお肉全般のことを指します。
ここで詳しく解説するとかなり長くなってしまうので、より詳しく知りたい方は以下の記事を読んでみてください。
≫【必見】国産牛と和牛の違いとは?品種ごとの特徴についてもプロが徹底解説!
まとめ;最も長く育った国が原産地になる!10桁の個体識別番号も超大事!
まとめになります。
2022年現在、畜産業界は昔とは比べ物にならないくらいクリーンな環境になりました。私も業界に入って10年以上が経ちますが、諸先輩方に昔の話を聞くと本当に信じられないような話がどんどん出てきます。消費者が安全・安心にお肉を購入することができるようになるということは本当に大切なことであると実感しています。
それでは最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。当ブログでは現役のお肉の営業マンがお肉のことについて徹底的に解説しています。
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本日も良いお肉ライフをお過ごしくださいね。