この記事は全9章で外国から輸入する牛肉について幅広く、かつ分かりやすく解説する記事となっています。目次より、自分の読みたい項目に1秒でジャンプできるようになっています。
最初から順番に読んでもOK、気になる項目を読みたいだけ読んでもOKです。とにかく気楽に、リラックスして読んでみてください。

輸入のお肉って、いまだに何だか悪いイメージがありませんか?
身体に悪そう・まずい・かたい・くさい・・・・。
この記事を読めば、本質的に輸入牛肉のことを知ることができますよ!
記事の中に登場する肉リテラシーとは造語であり、金融リテラシーやマネーリテラシーのお肉版だと思ってもらって大丈夫です。詳細はこちらになりますのでお時間があれば読んでみてください。
- 輸入牛肉のことについて幅広い知識が身に付く
- 今までの輸入牛肉に対するイメージが一変する。
- 食肉業界のことを「中の人」目線で理解することができる
- 知り合いの肉リテラシーを高めたくなる
- そして、今すぐお肉を食べたくなる
また、この記事はかなりの文字数があります。記事の途中でもフッターの「目次ボタン」を押せば、いつでも目次が出てきて読みたい記事にジャンプすることができます(スマートフォンの場合)。読みたい記事がある場合や読み飛ばしたい場合に、是非活用してみてください。


各章ごとに簡易的な「まとめ」も設置してあります。こちらを読んで頂くだけでも十分に知識は身につくような構成になっています。
私は食肉卸業大手の会社に2011年から新卒で勤めており、2021年現在もお肉のプロとして現役で働いています。食肉業界をもっと活性化させたいという強い想いから当ブログの運営を開始しました。
現場の最前線で働いている現役営業マンが書く、おそらく日本唯一のブログになります。



私と一緒に楽しくお肉のことについて勉強しましょう!
分からないことはいつでも質問してくださいね!
それでは、肉リテラシー向上セミナー「輸入牛肉編」開校です!



よろしくお願いします!
この記事では、全国食肉検定委員会主催の「お肉検定講習会1級テキスト」に記載の内容を多く参考にしています。引用については公益財団法人全国食肉学校様より許可を頂いております。ご協力頂きまして誠にありがとうございました。
【第1章】豪州産牛肉(オージービーフ)の分類について。


みなさん、豪州産の牛肉についてどのようなイメージを持っていますか?私の予想にはなりますが、多くの方は以下のような感想を持っているのではないでしょうか?
- 臭くて硬くて安いお肉のイメージ
- 特売のお肉と言えば豪州産牛肉
- 安い食べ放題の焼肉に行ったら必ず出てくるイメージ



豪州産のお肉ってだいたいこんなイメージだよね。
ゴムみたいに嚙み切れないお肉のイメージ(笑)



さーちゃん、ゴムって・・・泣
あながち間違いじゃないけどね(笑)
ただ、全部の豪州産のお肉がこういうわけではないよ!
豪州産でも驚くくらいに、柔らかくて美味しい豪州産のお肉はたくさんあるんだ!
豪州産のお肉は、飼育方法によって大きく2つに分類されます。もう少し詳しく見ていきましょう。
グラスフェッドとグレインフェッドとは?
豪州産の牛肉は大きく分けて「グラスフェッドビーフ」と「グレインフェッドビーフ」に分類されます。これは牛の飼育方法によるものです。牧草だけを食べて育った牛をグラスフェッドビーフ、牧草に加えて穀物などの濃厚飼料を食べて育った牛がグレインフェッドビーフに分類されます。
グレインフェッドビーフは穀物肥育の期間によって更に4つに分類されます。
穀物肥育期間が70~90日間の牛肉。生産数自体は多くなく、風味はグラスフェッドに近い(畜種による)。
価格帯もヤングフェッド~ロングフェッドの順に上がっていきます。つまり、豪州産で最も高価なお肉はロングフェッドビーフになります。



でもお店では、ショートフェッドとかロングフェッドとか書かれていないよね?どうやって見分ければいいの?



さーちゃん、鋭いね!
その通りで、ほとんどのお店はわざわざ表記していないんだ。
理由としては、一般的に出回っているグレードのほとんどがショートフェッドビーフだから、あえて表記していないんだ。消費者に耳なじみもあまり無いしね。
それに、企業によってはグラスフェッドビーフは納品禁止のところも多いよ(特に関東地方の大手量販店等)。
【グラスとショートの対日輸出量の図】



上の図を見ても分かるように、日本への輸出量はグレインフェッドが上回っているね!
日本への輸出量が多い理由としては、グレインフェッドの牛肉の方が日本人好みの味になるからです。



でも、グレインフェッドはどうして日本人好みの味になるの?
ねえ、なんでなんで???



さーちゃん、ちょっと待ちなさい(笑)
牛肉の味って、脂肪の質に大きく左右されます。
で、その脂肪の質に大きく関わってくるのが食べている餌の質なんだ!
詳しくは下の記事で解説してるから良かったら読んでみてね。
≫グラスフェッドビーフとグレインフェッドビーフの食べ比べ!飼料が牛に与える影響について。(執筆中)
グレインフェッドビーフは柔らかい
また、グレインフェッドビーフは、「フィードロット」という牛舎に囲われて飼育されます。そのため、グラスフェッドビーフに加えて運動量が落ちるのでお肉自体も柔らかくなります。お肉の柔らかさがどうやって決まるかは下の記事の第3章を読んでみてください。
≫【全9章】現役のプロが解説!国産牛肉について総まとめ。肉リテラシー向上セミナー
また、フィードロットについても別の記事でより詳しく解説しています。さらに詳しく知りたい方はこちらを読んでみてください。
≫フィードロットとは?グレインフェッドビーフが出荷されて日本に来るまでの流れを徹底解説!(執筆中)
ロングフェッドビーフは別格の美味しさ
ショートフェッドビーフはあえて表記しないことがほとんどですが、ロングフェッドビーフは例外が多いです。というのも、ロングフェッドは非常に高価であり、味や風味も豪州産牛肉とは思えないほど美味しい牛肉です。ですので、各メーカーごとに独自の名称を付けて他の豪州産と差別化して販売していることがほとんどです。



実際、グラスフェッドとロングフェッドとでは、部位にもよるけど価格は約1.5~2倍以上。ショートフェッドと比べても1.5倍近く高いんだ!
そのため、企業も一般的な豪州産とは差別化して付加価値を付けて販売していく必要がある。
販促POPや販促シールを使って、大々的にアピールして売っているところも多いよ!
ロンググレインフェッドビーフを日本へ輸出している現地パッカー(豪州のメーカーのこと)のことについて、より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。かなりマニアックな内容になっています(笑)。
≫【超マニアック】豪州現地パッカーについて徹底解説。プロでも知らない人が多い?(執筆中)



それでは、第1章のまとめです!
第1章のまとめ
【第2章】グラスフェッドビーフに注目。豪州産とニュージーランド産との違いは?
【国ごとの輸入量の円グラフ】
第1章で豪州産のグラスフェッドビーフの説明をしました。しかし、グラスフェッドビーフを輸出している国は豪州だけではありません。むしろ、現在のグラスフェッドビーフのイメージとしてはニュージーランド産(以下NZ産)の方が耳なじみが良いのではないでしょうか?
輸入量としては、豪州の方がNZに比べて圧倒的です。しかし、近年NZ産の牛肉の知名度も徐々に上がってきているように現場でも感じています。



一時期、グラスフェッドバターとか美容に良いって流行ったよね!
だからなのか、「グラスフェッド」って健康なイメージがあるなあ。
この章では豪州産とNZ産のグラスフェッドビーフの違いも含めて解説していきます。
豪州産グラスフェッドビーフの対日輸出量
まずは豪州産グラスフェッドビーフの対日輸出量を見てみましょう。下の図を見てもらえば分かるように、グレインフェッドビーフの方がグラスフェッドビーフに比べて比較的に多く輸出されています。第1章でも少し触れましたね。
【SGとグラスの輸出量の円グラフ】
グラスフェッドビーフはグレインフェッドビーフよりも安価なため、多くは加工用の原料として輸入されます。しかし近年、豪州産牛肉の記録的な生体不足のため、グラスフェッドビーフがショートフェッドビーフの価格を逆転する現象が起きています。詳しくは第3章で解説します。
生体不足とは、お肉になる牛さんが足りていない状況のことを指します。詳しくは第3章で解説します。



加工用ってどんなものに加工するの?



なじみのあるところで言えばハンバーグパティとかだね!
某大手ハンバーガーチェーンのパティは、豪州産とNZ産の加工用お肉を使用しているんだ!
専門用語で言えば、「トリミング」や「カウミート」という加工用の冷凍原料を使用しています。
NZ産グラスフェッドビーフの対日輸出量
次にNZ産グラスフェッドビーフの対日輸出量の推移を見てみましょう。下のグラフを見て欲しいのですが、近年は減少傾向にあります。主な原因としては、豪州産牛肉にシェアを奪われているためです。特に日豪EPAが発行された2015年以降は大きく豪州産に話されている状況です。



日豪EPAってのいうのが全く分からない・・・。



大丈夫だよ!(笑)
簡単に言うと、豪州産の方がNZ産に比べて、輸入に必要なコストが協定によって下がったからシェアを奪われたんだね!
NZは日本からすれば世界第4位の牛肉輸入国です。しかし、その大部分は米国産と豪州産が占めており、NZ産は全体のわずかにすぎません。また、輸出量の大部分は冷凍肉が占めており、冷蔵肉はわずかな量しか流通していません。冷凍肉は豪州産と同じく、多くが加工用に回されます。
【10年間の対日輸出量の変化グラフ】
日豪EPA(日豪経済連携協定)については下の記事で詳しく解説しています。お肉を輸入する際にかかる「関税」についても詳しく解説しているので良かったら読んでみてください。
≫日豪間の経済連携協定とは?お肉の「関税」についても詳しく解説!(執筆中)



いよいよ難しくなってきた・・・。



いつでも目次から各章のまとめに飛んでいいからね!
どんどん読み飛ばしてOK!!!
気になるところだけ読んでいこう!
まだまだ先は長いよ(笑)
豪州とNZの飼育方法の違いについて
豪州産とNZ産の牛肉の飼育方法について簡単に説明します。まとめるとこんな感じです。
- 豪州産は広大な土地を活かして大規模飼育。その多くはフィードロット(第1章参照)へと囲われる。
- NZ産はほぼ完全に放牧での飼育。ただし、酪農家との兼ね合いもあり大規模飼育が難しい。
- 豪州産はパッカーによっては成長ホルモン剤を投与している(当然国から認められているもの)。
- NZ産はほとんどの牛肉が成長ホルモン剤フリー。その分、生体は豪州産に比べて小さく輸出量も少ない。
- 近年、NZ産牛肉は日本での赤身肉の需要増加を追い風として、クリーンなイメージで販促をかけている。



健康志向が高い人、赤身肉が好きな人にはNZ産は最適かもね!
ホルモン剤ってあんまり良いイメージがないもんね・・。
NZ産の牛肉について、詳しくは下の記事で解説しています。赤身の肉が大好きな人、健康志向が強い人は是非読んでみてください。NZ産のお肉について深く勉強することができます。
【2021年最新版】NZ産の牛肉についてプロが徹底解説!肉質の特徴から輸出状況まで全部見せます!(執筆中)



個人的にNZ産はグラス臭が少し苦手なんだけどね・・・(小声)
でも、赤身は確かに美味しい!是非一度食べてみて欲しいな!
それでは第2章のまとめです!
第2章のまとめ
【第3章】豪州産牛肉の生体価格が史上最高値更新。その原因とは?


第2章で少し触れましたが2021年9月現在、豪州産牛肉の生体価格が過去最高値を更新しています。この章では、その原因と今後の予測について簡単に説明していきます。
2018年~2021年までの卸価格の推移について
【価格推移のグラフ】
上のグラフを見てもらえば分かるのですが、2018年~2021年の間で豪州産牛肉の卸価格は右肩上がりに上昇しています。みなさんも、最近スーパーのお肉が高くなったなあと感じませんか?



家庭にも結構大きなダメージを感じてるよ・・。



卸価格が上昇して、店舗側も売価に転嫁するしかないんだ・・。
企業努力だけではどうしても厳しい状況であることは分かって欲しいな・・。
価格の上昇要因について、もう少しだけ詳しく解説します。
豪州産牛肉の主な価格上昇要因について
価格の上昇要因に関しては、簡単にまとめるとこんな感じです。
- 2018年~2019年に豪州で起こった大干ばつにより、牛の餌である牧草が壊滅的な状況に。
- その影響で牛の生育状況が著しく悪化。牛を出荷することができず、農家の経営を圧迫。
- 農家は経営状態を回復するために牛の数を減らす方向へ(経費削減)。
- 今度は牛の数が全体的に減少したため、自国の消費も危ない状況に。
- そこで豪州政府は牛の頭数を回復するために、繁殖用のメス牛(お母さんの牛)を確保。
- そのため海外への輸出用の牛が減少した。
- 結果、需要が供給を上回ったため価格が高騰した。



つまり海外へ安く輸出するほど豪州には余裕がないってことだね。
どこの国だって、自国の消費が最優先だからね!



自分の国の食べるものが無くなったら大変だもんね。
より詳細な内容に関しては以下の記事を読んでみてください。
≫豪州産牛肉の価格高騰の要因について。現場10年のプロが徹底的に解説します!(執筆中)
今後の豪州産牛肉相場動向について(2021年9月現在)
これからの相場の予測についても簡単に触れておきます。



あくまで私の個人的な予想になりますのであしからず(笑)



専門的で分からないから私は読み飛ばします(笑)
- 豪州産牛肉の頭数回復にはまだ時間がかかる(2022~2023年?)ため、年内はコスト高が続く。
- 2021年10月以降、緊急事態宣言解除後は外食需要の回復に伴い現物相場が高騰。
- 蔓延防止措置などの規制で酒類提供ができるかがどうかが外食需要回復の大きなカギ。
- 年末に向けて米国産の肩ロースの先物相場が高騰。それに引っ張られて豪州産も相場高?
- 11~12月の最繁忙期に人の動きがあるかどうかが最大の相場高騰ファクター。



輸入牛肉の相場動向については、第8章や第9章でも少し触れています!
それでは第3章のまとめです!
第3章のまとめ
【第4章】米国産牛肉の各グレードについて。良く聞く「プライム」グレードとは?


みなさん、米国産の牛肉のグレードについてはご存知でしょうか?日本では国産牛の格付けがあることは多くの方が知っていると思います。



国産牛の格付けってどんなものだっけ?



A5ランクとかA4ランクってやつだよ!
歩留まり等級と肉質等級の15段階で評価するのが、国産牛の格付けだね。
詳しくは下の記事の第2章を読んでみよう!
≫【全9章】現役のプロが解説!国産牛肉についての総まとめ。肉リテラシー向上セミナー
米国産にも格付けはちゃんと存在します。第4章では米国産の格付け制度について簡単に解説していきます。
米国産牛肉の格付け方法について。どこがしてるの?
米国産牛肉も国産牛肉と同じく、歩留まり等級(Yield Grade)と肉質等級(Quality Grade)の組み合わせで格付けされています。格付けは米国農務省(USDA)の格付け検査官により行われています。
ただし、日本国内では米国の歩留まり等級についてはほとんど馴染みがありません。ですので、次の各グレードを覚えるだけでも十分な知識になると思います。
米国産牛肉のより詳細な格付け方法については米国食肉輸出連合会の公式HPを読んでみてください。かなり専門的な内容となっていますが、米国産牛肉について深く理解することができます。
米国産牛肉の各グレードについて
次に、米国産牛肉の各グレードについて解説します。各グレードの詳細についてはこちらになります。


上の図を見てもらえば分かるように、米国産の最高級グレードは「プライム」、最も下のグレードは「カッター」ということになります。



ただし、一般的に馴染みがあるのはプライムとチョイスまでかな。
セレクト~カッターはそもそも日本向けで輸出されることはほとんどなく、米国現地で消費されています。



たいちゃん、私プライムくらいしか見たことないんだけど・・・。



さーちゃん、大丈夫(笑)
一般的には「プライム」くらいしか表記されていないよ!それ以外は差別化して販売しづらいんだ。
あとは、グレードではないけれど「ブラックアンガス牛」を押している企業は多いね!
米国産のブラックアンガス牛については下の記事で詳しく解説しています。
≫米国産のブラックアンガス牛とは?対日輸出に占める割合と各畜種についても徹底解説!(執筆中)
米国最高級グレードの「プライム」とは?
「プライム」について、もう少し解説します。プライムグレードは、米国農務省(USDA)が格付けする最高級グレードです。日本でいうところのA5等級に位置します。プライムグレードは次の条件を満たした場合に、「プライム」として格付けされます。




プライムグレードの牛肉は非常に風味が豊かで日本人好みの味です。日本国内の需要も年々増加しているため、米国としても対日向けに力を入れて生産しています。



ヤメヨウ、急な横文字・・・
ただでさえ専門的な内容なんだから・・



プライムの格付け基準については覚えなくてOKだよ(笑)
米国の一番上のランクということだけ覚えておこうね!
それでは、第4章のまとめです!
第4章のまとめ
【第5章】米国産牛肉の月齢制限撤廃とは?消費者に与えた影響は?


2019年5月、日本の厚生労働省は米国から牛肉を輸入する際に設けていた月齢制限を撤廃すると発表しました。



たいちゃん、月齢制限って何?
それがどうして無くなったの?



月齢制限撤廃前まではBSE(牛海綿状脳症)の問題で米国からは30ヶ月齢以下の牛しか輸入できなかったんだ。
しかし、米国の安全性が確認されたことから、この制限が無くなって30ヶ月齢以上の牛も輸入できるようになったんだよ!
厚生労働省は17日、米国産牛肉の月齢による輸入規制を同日付で撤廃したと発表した。BSE(牛海綿状脳症)対策で月齢30カ月以下の牛肉しか輸入できなかったが、安全が確認できたため制限をなくした。カナダとアイルランドの牛肉も米国産と同様、月齢による制限を撤廃する。
米国産牛肉はBSEの発生を受けて2003年12月に輸入が禁止された。05年に月齢20カ月以下、13年には同30カ月以下の輸入を再開していた。16年ぶりに月齢の制限がなくなる。
内閣府の食品安全委員会が今年1月、制限を撤廃しても人へのリスクは無視できる程度だとする評価結果を出した。厚労省も現地調査でBSE対策が適切に実施されていることを確認した。
引用元:米産牛肉、輸入制限を撤廃 BSEの安全確認: 日本経済新聞 (nikkei.com)



理由は分かったけど、30ヶ月齢っていう数字は何を根拠に言ってるの?



30ヶ月齢を過ぎるとBSEの感染リスクが高まるとされていたんだ!
現在は安全性が確認されているんだけどね。
詳しくは下の記事を読んでみてね!
BSE問題については下の記事の第7章で簡単に解説しています。
≫【全9章】現役のプロが解説!国産牛肉についての総まとめ。肉リテラシー向上セミナー
また、より詳しく知りたい方は詳細記事を読んでみてください。
≫日本のBSE対策の現状および他の家畜伝染病について。外国の対策は? (執筆中)
当時の現場の状況はどうだったのか?
それでは、実際に月齢制限が撤廃された当時の現場の様子を少し振り返ってみましょう。月齢制限が撤廃された米国産の牛肉は今までの牛肉に比べて3~5割ほど価格が安いものでした。その価格帯に魅力を感じた商社は、各社こぞって輸入を開始しました。



当時は本当に今まで見たことのないようなパッカー(現地の加工メーカー)の牛肉がたくさん入ってきたよ!
ただ、パッカーによっては味が・・・(小声)
30ヶ月齢以上の米国産の牛肉のことを業界では「カウ(COW)」と呼ぶことが一般的です。「カウ」とは雌牛のことであり、子どもを産んだ経産牛を指すことが業界では多いです。
カウを輸出している米国パッカーについては以下の記事で解説しています。超マニアックな内容となっています(笑)
≫【プロ向け】米国経産牛を輸出している米国パッカー総まとめ!(執筆中)



今までカウの牛肉は日本には入ってきてなかったんだよね?
それまで、そのお肉たちはどこに行っていたの?



さーちゃん、ナイスな質問です!
月齢制限が撤廃されるまで、カウのお肉は米国現地でほぼ消費されていたんだよ!
それこそ、あちらは赤身肉文化だし、ハンバーガーも良く食べるからミンチ用のお肉として消費されていたんだ!
ただ、制限が撤廃されて自国よりも外国に出した方が儲かるようになったから輸出にも回されるようになったんだね。
消費者に与えた影響はどうだったのか?
それだけ価格面でメリットがあったカウの牛肉。果たして私たち消費者に影響を与えるほど、一般的に根付いたのでしょうか?



2019年からカウのお肉は日本に入ってきているんだよね?
2年経つけど、全然変わっていない気が・・・?



実はその通りでして・・・。
次のような理由があって一般的に広く流通するまでには至りませんでした。
現在は外食向けで一部の商社が取り扱っているくらいかな。
- 30ヶ月齢未満の牛肉に比べて、味やお質が圧倒的に劣るものが多かった。
- 職人には「経産牛」の悪いイメージが先行して広く普及するまでには至らなかった。
- 次第に輸入コストが上がっていき、価格面でのメリットが徐々に薄れていった。



特に決めてとなったのが2020年4~5月に発令された緊急事態宣言です。
この時に外食向けに冷凍で仕向けていたカウのお肉が、各社余りに余ってパンク状態に・・・。当然相場も超大暴落・・・。
何千万円単位で赤字を計上した会社もあったみたいだよ・・・(小声)。
これ以降、カウの輸入は各社かなり限定的なものになりました。
2021年9月現在、カウの牛肉を輸入している商社はかなり限定的なものになりました。今後もコロナ禍がまだまだ続くと予想されていることから、各社リスク回避の面・価格面でも積極的にカウの牛肉を輸入することは考えづらい状況です。



それでは第5章のまとめです!
第5章のまとめ
【第6章】新しい産地⁉ウルグアイ産牛肉の魅力について


長年、日本の食卓を支えてきた輸入牛肉と言えば、豪州産と米国産がメインでした。
特に安い牛肉と言えば豪州産を思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、近年は豪州産牛肉の価格高騰、輸入量の減少が業界では大きな問題とされています。



スーパーのお肉が値上がりしていて、実感が湧いている人も多いはず・・。
そこで、最近では豪州産に変わる産地としてウルグアイ産牛肉の注目度が大きくなっています。
この章では、その注目度抜群のウルグアイ産牛肉について現役のプロが詳しく解説していきます。
ウルグアイってどんな国?


ウルグアイの正式名称は「ウルグアイ東方共和国(Oriental Republic of Uruguay)」。南米の国であり、首都は「モンテビデオ(Montevideo)」。日本のほぼ真裏に位置します。
- 人口約300万人超
- 1200万頭以上の牛、800万頭以上の羊を放牧
- 国土の86%以上が農場と牧草地



人よりも圧倒的に牛とか羊の方が多いんだね!



日本の真裏からチルドでお肉が届くなんて、冷静に考えて凄いことだよね!
ウルグアイ産牛肉の特徴:クリーンな環境で放牧された牛肉
次にウルグアイ産牛肉の特徴について解説します。
- 国土の86%以上が農場と牧草地という、牛にとっては最高の環境で育った牛肉
- 成長ホルモン剤不使用、残留抗生物質無し
- BSE未発生国であり100%トレーサビリティ可能



成長ホルモン剤って何?



簡単にいうと、牛を早く大きくして早く出荷するための薬だね。
その方が農家も出荷の回転が速くなるから儲かるんだ。
それを不使用なので、消費者イメージとしてはプラスだよね。
また、成長ホルモン剤日不使用の放牧牛なので、豪州産や米国産牛肉に比べるとかなり小ぶりの牛になります。
ウルグアイ産牛肉を実食:まずい?美味しい??
実際にウルグアイ産牛肉を食べてみた感想について簡単に書いていきます。より詳しい実食レビューを知りたいかたは以下の記事を読んでみてくださいね。
≫【プロが実食】ウルグアイ産牛肉は美味しい?まずい?牛ヒレ肉を食べてみた感想
- 思ったより肉の臭みは無いが、牧草特有のニオイが少々強い
- 部位によっては固く感じる。焼き方や下処理で工夫
- 豪州産と大きな差は感じられない



豪州産と価格差が大きければ、ウルグアイ産でも全く問題ないと感じたよ!



値段が大きく変わるのなら全然アリだね!
スーパーの売り場で仮に豪州産とウルグアイ産が並んでいて、価格差が大きいのであればウルグアイ産でも十分だと感じました。
聞き慣れない産地への抵抗感さえなくなれば、消費は増えていくでしょう。



それでは第6章のまとめです!
第6章のまとめ
【第7章】輸入牛肉の賞味期限設定とは?国産牛肉との違いは?


一般的に、輸入牛肉は海外から船を使って日本へと運ばれます。輸出される国によって若干の違いはありますが、大体3~4週間で日本へと到着します。その後、港での検査や冷蔵庫での通関業務等を経て、私たち卸売り業の元までお肉がやってきます。
そして、私たちが末端のスーパー等へお届けし、みなさんの食卓へお肉が並ぶようになるわけです。その間、どんなに短くても4週間以上は経過していることになります。そこで、少し気になりませんか?



スーパーのお肉の賞味期限って、だいたい3~5日くらいだけど・・。
たいちゃん達が扱ってる塊のお肉の賞味期限ってどれくらいなの?
日本に来るまでに腐っちゃうんじゃないの??(笑)



輸出国と現地のパッカー(加工メーカー)にもよるけど、だいたいお肉になってから70~80日くらいだよ!腐ることはないから安心して!(笑)会社潰れちゃうよ(笑)
次から詳しく解説します!スーパーのお肉の賞味期限設定については、下の記事を読んでみてね。
小売店の精肉期限表示について。消費期限と賞味期限の違いも解説!(執筆中)
輸入牛肉の賞味期限設定について
輸入牛肉の賞味期限は、牛さんがお肉になってから62~77日を目安でつけられています。一方、国産牛肉の賞味期限設定は45~55日になります。この差は約30日。
勘のいい読者の方ならすでにお気づきかもしれませんが、この差はどうして生まれるのでしょうか?



輸入牛肉が輸出されてから日本へ来るまで、だいたい3~4週間。
つまり賞味期限はこの輸送期間を考慮してつけられているんだね!
輸入のお肉はこの長い賞味期限を確保するために、様々な対策を徹底しています。
- 徹底した衛生管理と菌数管理
- 高い真空技術によるお肉の鮮度低下防止
- 何重にもわたる動物検疫
このような徹底した管理のもと、輸入のお肉は日本で流通しています。長い期間が経過しているからと言って、決して鮮度が悪いわけではないので、安心して輸入のお肉を食べてくださいね。
むしろお肉を美味しく食べるためにはある程度の熟成期間が必要なのです。輸入牛肉の安全性については米国食肉輸出連合会の公式HPにも詳しく記載されています。
また、輸入のお肉は輸送期間ですでにお肉の熟成が進んでいます。そのため、日本で流通する際にはすでに柔らかく、風味の良いお肉に仕上がっているのです。
お肉の熟成に関してはこちらの第3章でも触れているので、良かったら読んでみてください。
≫【全9章】現役のプロが解説!国産牛肉について総まとめ。肉リテラシー向上セミナー



ただし、販売しているお店を選ぶことは凄く重要だね。
黒く変色しているようなお肉は酸化が進んでいて劣化しています。
売り場の回転が速く、鮮やかなお肉を多く並べているお店が狙い目だね。
その際、「加工日」も必ずチェックしよう!
国産牛肉の賞味期限は短いのか?
一方、国産牛肉の賞味期限設定は45~55日。これは決して短い数字ではありません。当然日本でも徹底した衛生管理や輸送体制は組まれています。
現在国産牛肉も賞味期限を延長する動きが非常に高まっています。これは海外輸出の活発化に伴い、国産競争力を高めるためです。詳しくは下の記事で解説しているので興味のある方は読んでみてください。
≫黒毛和種の海外輸出について。国ごとの規定および認可方法、年間輸出量について(執筆中)



一般的に輸出をする際には冷凍状態で輸出されます。
しかし、お肉の味や品質という面ではどうしても冷蔵状態の方が上です。
日本の美味しい黒毛和牛を冷蔵状態で海外に輸出したいという動きから、賞味期限の延長の動きが高まっているんだ。
一部の銘柄牛では冷蔵状態で賞味期限設定を100日まで延長する動きも出てきているようです。これが実現し、業界で一般的に普及すれば国際競争力が大幅に上がることは間違いありません。当然、国内の流通に関しても大きな影響がでることになるでしょう。
今後、日本は超少子高齢化社会へと突入します。日本の畜産業を守るためにも海外競争力の強化は必須となっています。今と同じように日本人がお肉を消費することは考えづらいからです。



今後、さらに海外への輸出が強化されていくことは間違いないね!
それでは、第7章のまとめです!
第7章のまとめ
【第8章】世界中で牛タン・ハラミ・サガリ価格が超高騰中。原因は?
【牛タンなどの価格推移の直近5年間・図】
近年、特にコロナ禍へと突入して以来、輸入の牛タン・ハラミ・サガリの価格が超高騰しています。特に2021年6月~7月の先物生産価格は、過去最高値を更新するレベルまで高騰。特に牛タン・ハラミの価格高騰は顕著で、米国産の牛タンとハラミは昨年同時期に比べて1.5倍以上の価格をつけました。
輸入のお肉は日本に入ってくる2~3ヶ月前に、商社が輸入元の国と価格交渉をします。つまり、2021年6~7月の先物生産価格ということは、5月に価格の交渉を行います。その後、日本に入ってくるのは2021年7月~8月ということだね。



確かにスーパーの牛タン、凄く高かったなあ・・。
398円/gくらいだった牛タンが気付いたら698円/gくらいまで上がってたし。
コストコの牛タンも値段が上がってたしね。
たいちゃん、原因はなんなの?



主な原因は現地需要の増加とコロナウイルスの流行によるものだね!
次から詳しく解説します!
価格高騰の主な5つの要因について
それでは、牛タンやハラミ・サガリの価格高騰の原因として考えられる5つの要因について説明していきます。
- 米国現地需要の著しい増加
- 米国自体が周辺諸国から買いあさっている
- 新型コロナウイルスによる現地工場の稼働率低下
- アジア諸国の買い付け増加
- 世界的な需要増加に伴い現地パッカーが安売りをしない
①米国現地需要の著しい増加
もともと、米国の方は牛タンなどの内臓肉は「ゲテモノ」扱いとして需要がほとんどありませんでした。そのため、多くは海外への輸出へと回っていました。しかし近年、日本へと観光に来た米国人が、日本で食べた牛タンのあまりの美味しさに感動。自分の国に帰ったあとも食べるようになったのです。



これがインバウンド需要です!
そして決め手となったのが2021年、米国で大手のステーキチェーン店が牛タンやハラミをメニューに採用したのです。これをきっかけに現地需要が大幅に増加。自国の消費を賄うのも精いっぱいな状況にまで陥りました。そのため、他国への輸出価格が大幅に上昇したのです。



自分の国で高く売れるのに、外国へ安く出す必要はないもんね!
② 米国自体が周辺諸国から買いあさっている
現地需要の増加により、米国は自国での供給もままならない状態となっています。そのため、米国が世界中から牛タンやハラミ、サガリを買いあさっているのも価格高騰の大きな要因の一つです。
また、ハラミだけでは現地需要を賄うことができず、サガリも一緒に買い付けていることが価格高騰に拍車をかけている状態です。ハラミやサガリがどこのお肉かについては肉リテラシー向上セミナー国産牛編の第5章で説明しています。国産牛肉のことについても詳しく解説しているので良かったら読んでみてください。



ハラミとサガリは似た肉質だから、サガリも一緒に使っているんだね!
それほど米国の供給はひっ迫しているんだ!
≫【全9章】国産牛肉について総まとめ。肉リテラシー向上セミナー
③新型コロナウイルスによる現地工場の稼働率低下
ご存知の通り、米国でも新型コロナウイルスは依然として猛威を振るっています。米国現地の工場では、3密を防ぐためにソーシャルディスタンスを徹底しています。そのため、今までのように工場作業員(以下ワーカー)を詰め込むことができず、稼働率が大幅に低下しています。
現地報道によると、予防接種を受けた人が増加し、経済活動が本格的に再開するにつれ、「募集をかけても人が集まらない」と各地で求人難の声があがっている。失業手当の加算措置等で就職意欲が低下していることも背景にあるのではと指摘されている。
全米商工会議所は5月7日、「政策立案者が今行うべきことは、毎週300ドルの失業給付の加算を終了することだ。会議所の分析によれば、受給者のおよそ4人に1人は仕事で稼ぐよりも、失業状態でいるほうが多くを得ている」とのコメントを発表。ニューヨークタイムズ紙によると、5月18日現在、全米50州のうち22の州(アラバマ、アラスカ、アリゾナ、アーカンソー、ジョージア、アイダホ、アイオワ、インディアナ、ミシシッピ、ミズーリ、モンタナ、ノースダコタ、オハイオ、オクラホマ、サウスカロライナ、サウスダコタ、テネシー、テキサス、ユタ、ウェストバージニア、ワイオミング、ウィスコンシン)で、州知事らが6~7月中に加算措置を打ち切る意向を表明したりしている。フロリダ州でも24日、6月最終週より加算を打ち切る方針を示した。CNBCニュースによると、アリゾナ州とモンタナ州では、失業状態から新たに就職した者に1000~2000ドルの「ボーナス」を支給する。アリゾナ州では少なくとも10週間、モンタナ州では4週間働くことなどを条件とする。このほか、ニューハンプシャー州とオクラホマ州でもこうした「職場復帰ボーナス」の実施を発表している。
ただ、就職を阻害する要因としては、職場での感染の警戒、健康上の懸念、学校や介護・育児施設などが通常の運営体制に戻っていないことなどもあり、打ち切りの動きを危惧、批判する人も少なくない。
引用元:米国救済計画法と失業保険加算措置(アメリカ:2021年5月)|労働政策研究・研修機構(JILPT)



工場によっては稼働率が70~50%にまで落ちているところもあるよ!
合わせて、米国は日本に比べて失業手当が充実しています。これが理由で工場での働き手が減り、稼働率の減少に拍車がかかっている状況です。



完全に需要が供給を上回っているんだね・・。
ただし、失業保険の加算措置を打ち切る州も出てきており、徐々にワーカーが戻ってくるという見方も出ています。だからといって、現地の状況が改善しているとは言いづらく、相場回復の大きな要因とはなっていません。
④アジア諸国の買い付け増加
このような米国の動きに対して、アジア諸国の買い付けも増加しています、特に中国、韓国の買い付けがすさまじく、日本は買い負けしてしまっている状態です。



世界的に需要の高い牛タン・ハラミ・サガリに関しては、価格交渉をしても安く出してくれないんだ・・。
「モノは高い方へと必然的に流れる」
これが商売の基本だね。
中国や韓国が、どこの国から毎年どれくらいの量のお肉を輸入しているかは、以下の記事を読んでみてください。特に中国の動きで相場が全て決まっていると言っても過言ではありません。
≫【2021年最新版】中国・韓国の牛肉輸入状況について。最大の輸入国はどこ?(執筆中)
⑤ 世界的な需要増加に伴い現地パッカーが安売りをしない
①~④で解説した理由で、牛タンやハラミ・サガリの需要は世界的に急増しています。そのため、今までは価格交渉に応じていた輸出元のパッカーも、現在ではほとんど価格交渉に応じてくれなくなっています。理由は日本に対して安売りしなくても、他の国が高く買ってくれるからです。



これがさっき、たいちゃんが言っていた「モノは高い方に流れる」ってことだね。



そうなんだよね。あまりに価格交渉をしすぎると、商品を輸出してくれなくなる可能性もあるんだ。だからギリギリのラインで日本は毎回交渉しているんだよ。
これらの輸入コストの上昇が、我々の食卓に徐々に影響を出してきています。特に牛タン・ハラミ・サガリは2022年も高値維持と予想されています。



でもさ、お肉が高くなった原因がコロナの影響なら、コロナが落ち着いたら値段も下がるんじゃないの?



未来のことだから誰も断定的なことは言えないけどね。
ただ私は「価格は完全に元には戻らない。むしろまだ上がる可能性もある」と考えているよ。
詳しくは第9章で解説しているので良かったら読んでみてね。
様々な要因でお肉の価格が高騰しています。ニクラブでは現場の最前線の情報をこれからも読者の皆様へお届けしていきます。今後のお肉情勢に要注目です!



それでは、第8章のまとめです!
第8章のまとめ
【第9章】2020年~2021年コロナ禍での輸入牛肉相場動向について。アフターコロナは牛肉世界争奪戦?


最終章ではまとめ的な意味もこめて、2020年~2021年コロナ禍での輸入牛肉の相場動向を振り返ってみます。また、アフターコロナの世界についても私なりに予想してみようと思います。



やっと最終章・・・涙
ここまで長かった・・・涙涙



さーちゃんも、読者の皆様も、ここまで本当にお疲れ様でした!
最後まで読んでくれて凄く嬉しいです!
あともう少しだけ頑張ろう!!!
直近1年間の輸入牛肉相場動向について
【緊急事態宣言とそれに伴う価格推移の図】
それでは直近1年間の輸入牛肉の相場動向について簡単に振り返っていきます。
- 直近1年間、豪州産・米国産ともにコロナの影響で輸入コストは高い状況が続く。
- 2020年秋口から政府の「GO TO」施策により外食需要が急拡大。今まで低迷していた相場が急転し、外食向けのお肉の相場高騰を招いた。
- 2020年12月は、例年モモ系が品薄・相場高になるが国内過剰在庫により相場が下落した。
- 理由としては米国産の輸入量を増やし、各社そちらにシフト。それにより豪州産の荷動きが止まり過剰在庫になったため。
- 2021年9月現在、米国産牛肉の相場高騰が著しい。特に年末に向けた価格が史上最高値を更新する勢いで高値を付けている。



モノの相場は全て「需要と供給」で決まります!
総じて、この1年間は政府に振り回されっぱなしの1年でした・・。
緊急事態宣言が出るか出ないかで、国内需要が大きく左右されるため相場に大きな影響を与えます。
不満ばかり言ってもしかたありませんが、政府の方針には納得のいかないものがやはりありますね・・・(小声)
緊急事態宣言が出れば外食向けのお肉が余って相場が下落。人が動き出せば、需要が急激に増加して相場が高騰・商品が品薄。とにかく、これの繰り返しの1年間でした。
アフターコロナでは世界のお肉情勢はどうなる?
それでは、私なりのアフターコロナの予想をお伝えしたいと思います。コロナが完全に収束し、世界的に人の動きがある程度もとに戻ったものと仮定します。



そうなった場合、世界中で牛肉の争奪戦が起きて相場が高騰すると私は考えています!



たいちゃん、どういうこと??



当然予想だから断定的な表現はできないけどね。
次のような理由から世界的にお肉の取り合いになるのではないかと考えています。
- 米国産牛肉の価格が依然として高騰中。
- 高騰要因としてはコロナウイルスも原因の一つであるが、最も大きな要因は米国現地の需要が急増したから。
- そのため、仮に世界的にコロナが落ち着いたとしても米国現地の需要は落ちない。
- コロナが落ち着いた世界では外食需要も徐々に回復。それに伴い各国はお肉が必要になる。
- しかし米国現地の需要が落ちることはなく、世界的な需要は増加する。
- 各国は、自国の需要を賄うために高値でもお肉を買い付ける必要がある。
- 結果として世界的なお肉争奪戦に突入。価格は更に高騰することに。
これが私の考える「アフターコロナ」のお肉の世界です。あくまで予想でしかありませんが、ありえなくもないと思います。ただし、2022年~2023年にかけて豪州の輸出用の頭数が回復すれば、相場がまた違ったものになるかもしれません。豪州産牛肉の輸出動向にも引き続き要注目ですね。



豪州産牛肉の価格のことについては、この記事の第3章で解説しています。
それでは、第9章のまとめです!
第9章のまとめ
まとめ:輸入牛肉の正しい知識を身に付けて美味しいお肉をたくさん食べよう!
いかがでしたでしょうか?これにて肉リテラシー向上セミナー「輸入牛肉編」は終了です。
専門的で難しい用語も多くあったことと思います。読者の方により分かりやすく、楽しくお伝えするために、日々改善を重ねていきます。少しでも興味を持たれた項目があれば、詳細記事も是非読んでみてください。
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同業他社の方、精肉関係者の方からのお声も心からお待ちしております。業界の活性化に向けて一緒に歩んでいくことができれば何よりです。
それでは、本日もお読みいただきありがとうございました。肉リテラシー向上セミナー「国産牛肉編」でも是非お会いしましょう。



また、一緒に勉強しようね!
合言葉は「肉リテラシーを高めて「真に」美味しく幸せなお肉ライフを」。



今日も最高のお肉ライフをお過ごしください!
本日もありがとうございました!!!